流産

流産は本当に残念で悲しい出来事で、妊娠22週までの妊娠の終了を言い、12週未満を初期流産、それ以降を後期流産と言います。今回は初期流産について書かせていただきます。この時期の流産は妊娠の10数%に残念ながら起こります。原因の大部分は偶然に起こる染色体異常による胎児側の原因によります。つまり体外で生きていくことができないような重大な染色体異常が起きた時に流産の形をとります。流産は出血と下腹痛という症状を連想する方が多いようですが、必ずしもそうではありません。胎児が発育してこない、心臓の動きが見えない場合などを稽留流産といいます。この状態から少し時間が経ってくると出血などが始ってきます。
実際には、膣からの超音波では妊娠5週位から胎嚢が約1cmで見え、7週からは胎児が見えてきます。ただ妊娠週数は最初最終月経から算出するので、排卵日が遅れれば妊娠週数が異なりますので、計算した週数と超音波の見え方が違うから、即赤ちゃんの育ちが悪いわけではありません。また、尿中や血中の妊娠性ホルモン(HCG)の値の変化を調べていくことも胎児発育の推測になります。

残念ながら、超音波などで稽留流産と診断がついた場合は、子宮内をきれいにする流産手術が多くの場合行われます。このときに子宮内の絨毛を培養染色体分析をすると、流産の原因が染色体異常かどうか明確になります。ただ、保険のきかない検査で決して安いものではありませんが、数回流産を繰り返している人の場合には行った方が良いと思います。稽留流産の場合は決してお母さんの食べ物や生活の仕方が悪かった訳ではありませんから、流産後少しの期間は安静にして次の妊娠に備えましょう。
3回連続して流産した場合を習慣性流産と言います。習慣性流産の原因は子宮の形、黄体機能不全、抗リン脂質抗体症候群、抗核抗体、感染、染色体異常などがあり、多くの検査が必要です。先に書いたように流産の確率は10-15%で年齢などと関係ありますので、流産の原因として多い偶然生じた染色体異常が繰り返されている可能性も否定できませんが、別な原因もあるかもしれませんので検査してからの妊娠をお薦めします。黄体機能不全というのは排卵後の黄体ホルモンが低い状態で基礎体温をつけ高温期に測定してみます。黄体機能不全に対しては注射や内服のホルモン剤により治療します。流産と明確に関連が認められているものが抗リン脂質抗体症候群で、体の中のリン脂質に対する抗体ができている病気で、血液が固まりやすくなり血栓ができ脳梗塞や心筋梗塞になりやすかったり、流産や死産を繰り返します。治療としては血液を固まりにくくお薬を使用して治療します。抗核抗体も自分の体内物質に対する抗体で,薬による治療が行われます。
これらの検査をしても原因がわからないことが多いのが実際です。ですから、重要なことは3回目の流産が稽留流産である場合流産手術をした時に絨毛染色体検査を行い、その流産の原因が染色体異常であったのかどうかを調べることです。連続した流産では精神的に大変なダメージがあると思います。だからこそ、検査をして原因を調べて判明したら治療をして、不明であれば大丈夫だと信じで次の妊娠に望みましょう。

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流産” に対して1件のコメントがあります。

  1. SAKURA より:

    悲しいですよね・・・。
    私の周りは無事出産をされる方も多いのですが
    残念な方も多く・・・半々位の割合です。
    そう考えると、流産って珍しくないんだなと思います。
    友人が双角子宮で5ヶ月位で流れてしまったときは
    流石に泣きました@@

    出産って普通に産まれて当たり前と思っていましたが
    母子共に無事であることはとてもありがたいことなのだと思いました。
    それもこれも、経過をしっかり診てくださる先生がいるからこそ
    ですね^^

    無事妊娠したら、定期健診はしっかり行きますよ~!

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