Archive for the ‘産婦人科の知識’ Category

妊娠、授乳と薬

産婦人科医をしてますと、良く妊娠に対する薬について説明を求められます。でも、薬は非常に多くの薬があり、さらに新しい薬が作られていきます。さらには、ジェネリックができ、ますます複雑。他の科の医師と産婦人科の医師で、何か情報源が違う訳ではないでしょうし、治療はメリットとデメリットの比較で行われるので、その疾患の重症度がわからない「たかが産婦人科医」に判断できる訳はないですよ。

ということで、厚生労働省の事業として2005年に「妊娠と薬情報センター」が設置されました。特にこれから妊娠しようと思われる持病をお持ちで薬を服用している方はいかがでしょうか。情報を得て主治医の先生から説明を聞くことも可能です。詳しくは下のパンフレットとHPをご覧ください。HPはhttp://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.htmlです。ここには授乳と薬の情報もあります。ただ、授乳についての場所の記載には少々疑問あります。そうなら、添付文書の授乳中の記載変えるべきではと思うのはわたしだけかな。

妊娠と伝染性紅斑(リンゴ病)

伝染性紅斑(りんご病)とは

ヒトパルボウイルスB19によって発症する感染症で、子供に多く認められ、5~6年周期で流行すると言われています。かかった子供は頬が赤いりんごのようになるので、日本では俗にりんご病と呼ばれております。りんご病は,頬の他に体にも網状の発疹がでるほかは,軽度の発熱程度で自然治癒するので,特に治療を必要としません。大人もかかりますが、明瞭な発疹が見られることは少なく、無症状のこともあるし、風邪や関節炎の症状のことが多いようです。
感染は,飛沫感染によるものと考えられており,咳や痰などから移ります。潜伏期は4~20日位であり,発疹が出現する前にウイルスが血中や咽頭に検出されますが,発疹が出現してからは検出されません。予防にはワクチンはなく、手洗いやうがいといった一般的なものしかありません。

妊娠中の影響

妊娠20週までに感染すると、10%前後の頻度で胎児の子宮内死亡が起こる場合があると言われていますが、奇形を持って生まれた報告はありません。感染時期に関係なく胎児がむくんだり、腹水等貯まる胎児水腫という状態になることがあります。感染した場合の発生率についての明らかなデーターはありませんが、頻度は高くないと思われます。以前福岡市で大流行した時には、出生した子供の1000人に対して2人の胎児水腫が見られたとの事です。感染から胎児水腫の発生までの期間は2~20週とバラバラですし、胎児水腫も高度になると命に関係する状態ですが、一過性に認められても自然に消失する場合もあります。胎児水腫の原因は貧血ですので、高度な場合は出生後にその治療を行うことになりますが、出生前の治療法はありません。診断は超音波により可能ですので、通常の妊婦検診時の超音波検査で十分だと考えます。

診断

母親の血中抗体を調べることが多いのですが、IgMと言う抗体は感染3日後に陽性となり4ヶ月陽性は続きます。従って、感染時期を特定するのは困難です。また、母親の抗体が陰性でも胎児からパルボウイルスの感染が証明された例もあり母親の検査で判定が正確に行える訳ではありません。胎児の状態を超音波で検査することが診断法と言えるでしょう。

Q&A

Q1. 大人がりんご病となった時には、どのような症状がでますか?

A1. 風邪のような症状と関節痛が主で、発疹がでない場合も多いようです。ですから、かかったどうか不明な場合も多いと思います。

Q2. 妊娠中に感染するとどのような影響が考えられますか?

A2. 妊娠初期では奇形の発生は報告されていませんが、子宮内胎児死亡が10%前後認められるという報告があります。その他に極めて少ない確率ですが、胎児がむくんだり腹水や胸水がたまる胎児水腫と言う状態となることがあります。

Q3. 血液検査で以前にかかったかどうか、今後大丈夫か解りますか?
A3. 以前にかかったかは解りますが、大丈夫かどうかはある程度と考えた方が良いと思います。ただ、その時点でかかっていなくても、その後の感染で胎児に影響がでることはありますし、また、抗体が母親に認められなくても胎児から認められた症例もあります。抗体があれば、感染の可能性はかなり低くなりますが100%大丈夫な訳ではありません。胎児に奇形などが生じる風疹ウイルスではある程度の時期を過ぎれば大丈夫ですが、パルボウイルスでは違いますので、そこが複雑な点です。

子宮頚癌 -その2- HPVワクチン1

子宮頸癌の原因がHPVというウイルスであることは間違いないでしょう。HPVはありふれたウィルスで性交経験がある方では80%は一時的に感染するのではと言われています。ほとんどの場合は一過性の感染で、自然に排除され約10%位が持続感染となり、さらにそのなかの200-300人に一人が数年かけて癌となります。癌になる時も、軽度異形成、中等度異形成、高度異形成、上皮内癌、微小浸潤癌を経て浸潤癌となります。
原因のHPVには100種類以上の型があり、このうちの約15種類にハイリスク型といわれ子宮頸癌の原因と考えられています。その中でも16型と18型は悪性化が早く高頻度に検出されるため、この型に有効なワクチンが作成されて、日本でも認可されました。タイプが限られていますので、その有効性はアメリカで80%、16型と18型の頻度が低い日本では60%位の有効性と考えられています。従いまして、HPVワクチンは決して、「子宮頸がんワクチン」ではありません。問題は、HPVワクチンがターゲットとしている16/18型でのリスクを下げるものの、他の型が原因でのがんを予防しきれないこともあり、「接種すればがんにならない」という誤解を与えかねないことに注意が必要です。また、ワクチンの効果は現在6.4年以上にわたり継続することが確認されていますが、それ以上はまだ効果が確認されていません。
また、接種は11-14歳が第一に、15-45歳が第二に推奨されていますが、現在の摂取平均は31歳と高い年齢となっています。明らかなデーターとしてあるのは26歳までの人には、Sexの有無、HPV感染の有無、異形成があるかどうか無関係で効果があるというデーターがあります。HPVに感染している人にワクチンを接種した場合、異形成に進行する可能性が増加するという報告があります。ただ、全体的に考えると約50%の効果があるようで、有効だということです。この日本の45歳までというのは確か効果があるという治験がアメリカでさらアメリカのFDAという機関に承認を申し込んだということまでは確認しているのですが、その申請がどうなったかは不明です。もう少し時間があるときに、調べてみる予定です。年齢が高くなると持続感染の割合が増える筈だから、有効率は低くなります。さらに、タイプを考えると日本では効果がさらに下がる可能性があります。

次回はネットに出ている賛否両論の意見について考察してみます。

子宮頚癌 ーその1 「初めに」 ー

子宮頚癌については、昔から「がん検診」が行われているもので、それについては大きな変化がなく過ぎてきました。しかし、最近その検診に使われる細胞診の結果の表現が変化したり、頚癌のワクチンなるものが出てきたりと大きな変化が生じています。そこで、子宮頚癌について知って頂き、がん検診を多くの方に知って頂きさらにその結果も良く理解していただき、治療を受けて頂けるように連載形式でブログに書いて行く予定です。まずは初めてみようと思ってます。

スライド3子宮癌は頚癌と体癌(内膜癌)に分けられます。現在頚癌の方が多いのですが、内膜癌が増加してきています。ただ、体癌検診というのは非常に微妙な問題で、そのうち別な時に書かせて頂くことにして、今回は子宮頚癌のお話です。

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世界中で当然ながら、頚癌の患者さんはいるわけで女性にとって重要な疾患であります。

日本では、年間約8800人の女性が子宮頸癌を発症し、約2500人の女性が死亡しています。これは以前に比較して減少してきていましたが、2030歳代の若い女性で子宮頸癌が増加していることが問題となっています。

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次回は頚癌の発症過程についてです。