母乳保育がくる病の増加に関係?

興味のあったニュースや論文、ネット掲載などをとりあげて、自分が調べたことを少し書いてみようというカテゴリー「気になった話」をつくりました。まずは、少し前となりますが、ネットで周産期関係の話題をみていたら、「くる病:乳幼児に増える 母乳、日光浴不足、食事が要因」とありびっくり(;゚Д゚)。元記事はもう読めませんが、ネットで検索すると内容はわかります。
くる病は、ビタミンDが欠乏することなどにより、カルシウムの吸収が進まないことで、骨の成長障害および骨格や軟骨部の変形が生じる病気です。1歳以降に足に負荷がかかってO脚になりやすい。このくる病が最近増えていると言う記事で、検索すると昨年秋にも似たような記事がありました。そう言えば子供の頃、小学校で「肝油」が配られたような、あれはビタミンD補給だったと記憶しています。ということで少し調べてみました。
ビタミンD欠乏の増加の3大要因として、母乳栄養の推進、日光浴不足、偏った食事という風に新聞では取り上げられています。私は母乳栄養が万能だとは思っていませんが、この書き方はいかがでしょうか。
それでは何が以前と変わったのでしょうか?母乳は人工乳に比して、確かにビタミンDが少ないと言うことは、以前より言われていました。母乳の成分にはかなり個人差があるようです。母乳中の成分には、母親の摂取状況、母親の体内貯蔵量にそれぞれ影響を受けるもの、それらに影響を受けないものがあり、ビタミンDは母親の体内貯蔵量に影響を受けるようです。と言うことは、妊娠中から十分にビタミンDが蓄えられていないお母さんの母乳はさらにビタミンDが少なくなることになります。これはお母さんが日に当たらなくなったり、食事が偏ったりするとさらに含有量は減少することになるでしょう。
次は日光浴の問題です。以前は1か月を過ぎたら日光浴をしましょうと言う記載が母子手帳にあり、日光浴が行われていましたが、皮膚がん等の問題で日光浴と言う記載はなくなり、外気浴という表現になっています。確かに日を浴びる時間は緯度により変わるのですが、10-15分位の短時間で良いので、わざわざ日光浴ではなくて良いはずですが、逆に全く日光に当たらない外気浴ではビタミンD不足になる可能性があります。まさか赤ちゃん用の日焼け止めクリームまで、出てくるとは思わなかったのでしょうし、原発事故の関係で関東などでは一時的に外に出る時間が短くなったことも考えられるでしょう。
また、以前は離乳食が始まるとビタミンDが補われるので、実際はくる病の発症は少なかったのだと思います。最近食物アレルギーの予防に離乳食を遅らせた方が良いと言う話がありました。これの根拠は特にないと思います(少なくとも大規模に行われた研究をもとにした論文は見当たりません。反するような論文は見つかりましたが、これはまたの機会に。)また、母乳栄養では1歳まで離乳食は不要ですと書いているサイトなどがありますが、これも明瞭な根拠はないようです。母乳栄養を薦めるWHOでも、生後6か月以上は離乳食と併用されると記載されていると理解しています。また、妊娠中からお子さんのアレルギーを減らすために食事制限を薦めている場合もあります。これも必ずしも明瞭な根拠のあるものではないと思います。当然過剰な摂取はまずいわけです。
結局、母乳保育が直接くる病の増加に直接関係あるわけではありませんが、生活環境を取り巻く要因が直接そして母乳を介して影響をあたえるからでしょう。母乳中のビタミンDはすくなめですから、妊娠中から食事のバランスに注意して、日光にも適度に当って過ごしていただくことが重要です。授乳期も同様で、離乳食の必要性も理解して頂ければ、母乳保育に必要な不安を持つことはありません。そして、母乳が完全食品ではなく、お母さんの摂取したものに関係あることへの理解は必要だと思います。
最後に、ビタミンDの多い食品を並べてみましょう。アンコウのきも、しらす干し、イワシ、すじこ、いくら、カワハギ、さけ、にしん、さんま、うなぎ、ひらめ、マグロ、かれい、さばなど魚類、干ししいたけ、卵のようです。と言うことで、魚離れが進んでいることも関係あるのではと思うのでした。

 

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