挙児希望・不妊症

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妊娠を希望される方へ

日本では、結婚され避妊せずに性生活をしていた場合1年以内に80%以上の方が、2年以内に90%位の方が妊娠するので、2年以上妊娠しない場合を不妊症と言います。 
 また、女性の加齢と不妊は密接に関係し、不妊の割合は20歳代前半までは5%以下で、20歳代後半より9%前後の不妊率になり、30歳代前半で15%、30歳代後半で30%、40歳以降では約64%が自然妊娠の望みがなくなると推定されています。 
約8割の方は体外受精以外の一般不妊治療で妊娠されています。当院では検査を行い、その方にあった治療を行なっております。1年以内に妊娠しなければ検査および治療をお薦めいたします。また、赤ちゃんが欲しいと思っているのに、なかなか妊娠しない場合には、一度ご相談してみることをお勧めします。そして、御夫婦できちんと話し合い、検査や治療を理解し、納得され、治療に臨むのも大切なことです。

検査

超音波検査

子宮筋腫、子宮内膜症、子宮内膜ポリープの有無等を超音波で検査いたします。子宮内膜ポリープが疑われるときは月経直後に子宮内に注水し超音波検査を行うと確定診断ができます
排卵前には卵胞ができ、その大きさを観察することにより排卵時期を予想します。

子宮卵管造影法

卵管が正常に疎通しているかどうかの検査となります。月経終了後から排卵日数日前までのあいだに子宮卵管造影法をおこないます。子宮に子宮卵管造影用の極細でやわらかいチューブを挿入して、造影剤を注入し、卵管が通っているかどうかを検査します。次の日にもX線撮影をして癒着の有無や卵管の動きについて調べます。ネットでは痛かったという書き込みがあって、皆さん構えていらっしゃいますが、「思ったより痛くなかった」というお話を聞きます。子宮卵管造影後には妊娠率が上がるという報告もあり、また、不妊原因の特定にとても重要な検査です。

ホルモン検査

月経周期に合わせて検査をします。月経開始3日目から5日目にエストロゲン、FSH、LH、甲状腺ホルモンなど基本的なホルモン検査を、排卵後1週間後位に黄体ホルモンの検査を行います。他にプロラクチンと言うホルモンが排卵を抑制するのでそれは必ず検査します。通院中にほかの検査が追加になることがあります。

ヒューナーテスト

性交後試験とも呼ばれ、子宮内に精子が進入できるかどうかを調べる検査です。排卵ごろに性行為をして頂き、3~10時間後に子宮頸管粘液を採取します。顕微鏡で頸管粘液内に運動精子を一定数以上見つけることが出来れば結果は正常となります。
 ただ、ヒューナーテスト再現性が乏しく、不妊症検査として有用ではないという考えもあり、欧州生殖医学会(ESHRE)やアメリカ生殖医学会(ASRM)のいずれにおいても、ヒューナーテストを薦めていません。ですから、一度結果が悪くても数回行う必要があります

精液検査(男性の検査)

禁欲期間後に精液を専門溶液を自宅で採取後、3時間以内に冷えないように届けて頂き、精子の数や運動率を検査いたします。

治療

 当院では体外受精は行っておりません。検査しながら、排卵のタイミングを合わせて妊娠率を上げるようにしていきます。妊娠率の高率化のために排卵誘発剤、黄体ホルモンのサポート等を行っております。

タイミング法

 排卵日を予測して性交の時期を調整する治療法です。まず、排卵予定日より前に、経腟超音波検査で卵巣内の卵胞という卵子が入っている袋の大きさを測定します。この計測値から排卵日を推定します。排卵日の2日前から排卵日までに性交渉があると妊娠しやすいと言われ、通常は排卵日の1日前にタイミングを合わせています。

排卵誘発法

 内服薬や注射薬によって卵巣を刺激して排卵を起こさせる方法です。通常、排卵のない方や排卵が起こりにくい方に行いますが、タイミング法や黄体機能不全がある方にもしようしますし、排卵障害はないが、タイミング指導などでは妊娠しないので治療をステップアップする場合(原因不明不妊も入ります)などでも使用されます。

クロミフェンクエン酸塩製剤およびシクロフェニル製剤

視床下部に作用してゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)の分泌を高め、下垂体から卵巣に命令を伝える黄体化ホルモン(LH)および卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌を促進します。内服剤であり、多胎などの副作用が少ないものです。

ゴナドトロピン製剤

 注射剤で対象疾患は、クロミフェンやシクロフェニルが無効な場合で、強力な排卵誘発効果が期待されている一方で、副作用として多発排卵による多胎妊娠や卵巣過剰刺激症候群などの発生頻度が高いので、注意が必要です。

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