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添い寝授乳で赤ちゃんが死亡し、御両親が警視庁に助産師に対しての訴状を提出したとの報道が年末にニュースで報道されました。大変痛ましい事であり、お産を扱うものとしてはいろいろ考えないといけないことであり、ネットから得られる内容で考慮してみました。
どういうことだったのかと言うと、
「2017年12月、帝王切開で出生した赤ちゃんを3日目未明に、担当の助産師は添い寝して授乳するよう指導し、赤ちゃんを母親の胸の上でうつぶせに近い姿勢で固定し、その場を離れたということです。2時間半後、母親が異変に気付き、その後に赤ちゃんの死亡が確認されました。両親は「原則しないはずの添い寝での授乳をさせるなどして窒息死させた」として、業務上過失致死罪で助産師への告訴状を警視庁に提出しました。警視庁は受理するかどうか検討するとしています。」
Cネットでは、いろいろな意見があるようですが、私なりの疑問点や気になった点を書いてみました。
第一に添い寝授乳という場合は、お母さんは側臥位で下側の乳房で授乳する筈なのに、うつ伏せに近い姿勢と言うのは変であるから、添い寝授乳ではないのではないか?イメージ的には早期母児接触の時に行う状態に近いのではないかと推測されます。そうであれば、危険性は指摘されていたはずです。固定と言うのがどのようなものであったかは不明であるが、タオル等を使う時はあくまでも赤ちゃんの姿勢の保持でしか使われないと思うのだが。弁護士さんの主張「聖路加が作ったルールがスタッフに守られていなかった。あってはならない過失だと思います」はこの点を指すのかもしれませんね。ただ、亡くなった原因が窒息か乳幼児突然死症候群だったのか解らない以上、このことが直接亡くなった原因に結び付くがどうかは不明だと思います。
もう一つは帝王切開での出生であったことで、完全母乳の訴訟でも帝王切開の場合が多いイメージがあります。余り気にされていることはないようですが、帝王切開で出生した赤ちゃんは経腟分娩で産まれた赤ちゃんと比較して、呼吸状態が不安定だったり低血糖の発生率が高いなどということがあります。当然個人差がありますしだいたい12時間経てば落ち着いているとは思いますが、なかには数日落ち着かない赤ちゃんもいます。もう一つはお母さんがお腹が痛くて結構大変な方もいらっしゃいますからね。この点からすると3日目未明というのは手術当日を1日目としているのか当院のように手術当日を0日目とするのかも大きなポイントのような気がします。
出生して数日は不安定な赤ちゃんもいるのです。これは早期母子接触で全例経皮酸素モニターをつけてみて、本当に感じます。また、長い事産科している数日後に無呼吸発作など起こしている赤ちゃんもいました。幸いスタッフやお母さんが気が付いて、大事になってませんが、その後モニターつけると不安定な時期が1日位あったりして、その後は全くなんともないんです。
考えてみて、添い寝授乳が即危険という訳ではありませんが、危険性は多少ありますと言う事ではと思います。ただ、業務上過失致死にあたるのかどうかは疑問ですが、こういうニュースはその後どうなったか不明なのでフラストレーション溜まります。
元気な産まれた赤ちゃんが突然亡くなってしまうというのは、ご両親・御家族には大変なお悲しみだと存じます。また、その場にいたスタッフのショックも大きなものだと思います。
この赤ちゃんがなくなった原因は不明ですが、乳幼児突然死症候群で平成29年には日本で77名の死亡があったとのことで、乳幼児死亡の4位とのことです。全く安全なものはないのですが、安全性をできる限り100%に近づけることが必要で、いろいろ考えなければと思います。