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今回は、更年期障害としばしば混同されがちな疾患について書いていきます。どのような症状でも更年期だからと片付けていると、大事な疾患を見逃してしまいます。実際の臨床現場から、更年期障害と紛らわしい症状および疾患について詳しく掘り下げていきます。
更年期障害とは
更年期障害は、女性が生殖能力の低下とともに経験する段階で、通常40代後半から60代前半にかけて現れます。卵巣機能の低下により、月経が不規則になり、最終的に停止します。典型的な症状には月経不順、ホットフラッシュ、眠りの浅さ、情緒不安定、疲労感が含まれます。
更年期障害と紛らわしい疾患
- 甲状腺機能障害
- 甲状腺機能亢進症
- 甲状腺機能低下症
- 糖尿病
- 貧血
- 肝機能障害
- うつ病
- 心血管疾患
甲状腺機能障害
甲状腺機能障害では、甲状腺ホルモンの過剰(甲状腺機能亢進症)または不足(甲状腺機能低下症)が生じ、それに伴って体調の変化が生じます。その症状は更年期障害と重なることがあり、血液検査で甲状腺ホルモンの測定が必要です。
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症では、動悸、体重減少、手の震え、耐え難い暑さが特徴です。
甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症では、体重増加、疲労感、寒さへの過敏さが見られます。
糖尿病
糖尿病では、疲労感や体重の変動、食欲変化などが生じ、体重変化などで発汗が多くなることもあり、更年期障害と紛らわしい症状が出ることがあります。血糖値やヘモグロビンA1cの検査が糖尿病の診断に役立ちます。
貧血
貧血では、疲労感、息切れ、頭痛、肌の蒼白などが特徴で、更年期障害の症状と紛らわしいことがあります。血液検査でヘモグロビン値や赤血球数を測定し、診断を行います。
肝機能障害
肝機能障害でも疲労感が強く現れます。他には食欲不振などの消化器症状、情緒不安定などの症状が出現することもあります。診断には血液検査が有効です。
うつ病
うつ病は、疲労感や興味喪失、睡眠障害、情調不安定などが共通して出現します。更年期障害にも気分の落ち込みはありますが、うつ病ほどの重度ではないことが多いです。質問紙法などでの診断が行われます。質問紙法などでの診断が行われます。
心血管疾患
心血管疾患では息切れ、動悸などの症状があります。不整脈は心電図等で調べます。
診断と検査法
これらの疾患は更年期障害と症状が重なることがありますが、特有の症状や出現パターンによって区別されます。全ての血液検査が必要ではありませんが、女性ホルモンの状態を把握するための採血や質問紙法による症状の評価は重要です。各専門医の評価と適切な検査を受けることが正確な診断に繋がります。
まとめ
更年期障害は女性の生殖能力の低下に伴う症状で、月経不順やホットフラッシュなどが典型的です。似た症状を持つ疾患には甲状腺機能障害、糖尿病、貧血、肝機能障害、うつ病、心血管疾患があります。これらは血液検査や診察で区別され、正確な診断には専門医の評価と適切な検査が必要です。